――そういうのをお二人が31歳になって。現在と昔とどう変わりました?環境はもちろん変わったと思うんですけど、趣味趣向だったり、曲作り方法だったりとか
NAOTO:曲を作り始めた頃っていうのはどうやって作ってたの?
石毛:昔はカセットMTRだった。カスタムの4トラック
NAOTO:あったあった 石:思いついたリフだけ録音して、適当に歌入れて、で、それをスタジオに持っていって。
NAOTO:みんなで広げるみたいな。
石毛:ほんと最初はね。テレフォンズの前のバンドからずっとそういう作り方してたから。俺ピアノをちょっとやってたから、作曲を初めてしたのはたぶん中学校くらいの時なんだけど、その時はね譜面で書けてたんだよね。
NAOTO:凄い!
石毛:奇跡(笑)今はもう絶対書けないけど。基本的にはMTRから始まって、最終的にはPCになったんだけど。カセット→MD→ジップ→ハードディスク→PCみたいな。一応五代くらい。
NAOTO: MTRの中でも、ちょっとずつアップデートしてってくっていう
石毛:そう、そう
NAOTO:最初の4トラックの時ってリズムマシンとか使うの?
石毛:使わない。だから本当に、リフと声だけみたいな。あとはカシオのキーボードがあったから、それに入ってるリズムパターンを先に入れとくみたいな感じはあったけど
NAOTO:プリセットの
石毛:そうそう。四小節のループくらいの
NAOTO:やっぱそのMTRの時代だよね。俺もタスカムの青い4チャンだったなー
石毛:あの、ピンポン録音っていうのが
NAOTO:やってたねー
石毛:感動した。ダビング出来た!やった!って。超うれしいって
NAOTO:明らかに音遠くなってる
石毛:今振り返るとおもしろいけどね。
NAOTO:あれはね、凄くやっぱいい経験だった
石毛:あの音を知れるのはでかいよね
NAOTO:それと、4チャンネルのフォステックスのボリュームしかないミキサーで、デモテープ作った。生ドラムと。
石毛:ドラム録ったの? ドラム
NAOTO:学校で、カラオケ屋さんのマイクを
石毛:カチャカチャっていう、スイッチ式のやつ?
NAOTO:うん。4本誰かがカラオケ屋さんから借りてきて、それをミキサーにつないで、みんなで手で持ってドラムに。
石毛:スタンド無いんだ(笑)
NAOTO:高かったから(笑)で、ドラマーが失敗したらお怒られるって言うね
石毛:(笑)
NAOTO:それでひと儲けしてたしね。
石毛:ひと儲け?
NAOTO:売って(笑)
石毛:売れたの?
NAOTO:売れた。100均が当時出始めて、テープいっぱい買って、複製して後輩に千円で売るみたいな
石毛:結構ヤンキーな感じだね(笑)
NAOTO:俺は違うけど、俺以外のやつが、後輩に(笑)
石毛:だって、パー券みたいなものなんでしょ?
NAOTO:そうそう。みんなで売って、それこそライヴのタクシー代とかに使ってた
石毛:チンピラじゃないすか(笑)でもおもしろい。それが高校のとき?
NAOTO:そう
石毛:そん時からもう録音に興味あったの?
NAOTO:もともと兄貴が残していったMPC2000があって。それでリズムを組んだりとかしてた。周りにダンサーも多かったから
石毛:サンプリングとかもその頃から?
NAOTO:してた。そのダンサーの人たちと一緒に踊るような曲とか作たりとかやってて。
石毛:凄い特殊だ。だってギターの方が後だもんね。
NAOTO:そうだね。高校卒業するぐらいかな。ギターをちゃんとやったのは
石毛:なんか練習したりとかは?
NAOTO:練習は、まったく、しない。いつの時代も。しようと思うんだけど、3日、いや、2日でもう、終わっちゃう。
石毛:終わっちゃうんだ(笑)
NAOTO:なんかちょっと、指が痛くなっちゃう。
一同:(爆笑)
石毛:プロの方ですよね?(笑)
NAOTO:俺ねーこれ嘘じゃないけど、本当に痛くなるの(笑)
石毛:チョーキングとかしたら?
NAOTO:いやーもう本当に、一日ライヴしたら本当に痛い
石毛:delofamiliaさんで結構チョーキングしてる曲ありますよね?
NAOTO:ありますけど、もう、その、終わった後はもー、なんかねー。みんなって痛くないの?
石毛:痛くない(笑)。変な話してるね。俺ら一応ギタリストだよね?
NAOTO:風呂とか入ったら今でも痛いよ。
石毛:固くならないの?
NAOTO:これがならないのよ
石毛:(笑)
NAOTO:みんななるらしいよね。一時期アロンアルファで固めたことある。
石毛:あー流行ったよね。意味なかったでしょ。
NAOTO:意味なかった
石毛:弾きづらいよね、あれ。
NAOTO:すぐはがれるし。
石毛:そんなこと言っててもギター上手ですよね。
NAOTO:いやいや・・・
石毛:ギターの捉え方が、ちゃんと、なんだろう。正統派ではないというか。ギター、オルタナ好きなんだなっていうギターだと思う。音色とか、フレージングとか。男前なギターだと思う。とても指が痛くなるギターの人が弾いてるような感じではないよ。
NAOTO:あ、本当?良かった。じゃあ練習はしなくていいかな(笑)
石毛:それならアコギはもっと痛いでしょ?
NAOTO:アコギは弾かない。弾いてもらう。
石毛:なるほどね(笑)
NAOTO:この前ライヴで3曲くらい弾いたけど、もの凄く痛かった
石毛:あはははははは
NAOTO:ちょっと・・・だからdeloではこーへーっていうギタリストが居るから、ほとんどフレーズだけ作って、はいお願いってやってもらってる(笑)
石毛:きっとプログラミングとか、打ち込みの方が好きなんだね
NAOTO:そうだね、ほとんど。ギターはちょっと…
石毛:2曲目の低域が超かっこよかった!あれ、やおや(TR-808)??
NAOTO:やおややおや。ドクタードレーとか、ツーパックとか、あの頃に超欲しくて、でも買えなくて当時。だって一個の音しかしないのに12万だよ!?
石毛:今はもうちょっと下がったのかな?
NAOTO:今はまだ・・・2、3年前に、909と808と(TB-)303のドキュメンタリーやったの。映画。
石毛:知らない!超観てー
NAOTO:映画っていうか、DVDが出てて
石毛:制作過程みたいな?
NAOTO:そうそう。
石毛:あの三種の神器はいつも高いよね。
NAOTO:そうそう。平均15万とか。
石毛:303はほんと不思議だよね。もっぱらシュミレートしか使ってない
NAOTO:そうそうそう、
石毛:新しいローランドのやつとかどう?
NAOTO:AIRA?使ったことないけど、欲しい。ライヴで使いたい。何か本物を持ってくのは結構怖くて
石毛:壊れたらショックだしね。ライヴ用に。あれ軽いしね
NAOTO:安いしね。
石毛:俺もまだ買ってないんだけど、ローランド行ってこようかな。
NAOTO:ただ見た目がなぁー・・・俺はあんまり(笑)
石毛:イケイケ感がある。笑
NAOTO:なんかちょっと日本の匂いがする
石毛:ELEKTRONとかデザインがかっこいいよね。
NAOTO:じゃあまぁそれを経て
石毛:なんでしたっけ?曲作りか
NAOTO:今のやりかた。一緒?テレフォンズもソロも
石毛:ソロだと作り方違うけど。バンドだと、こういう曲を作ろうと思うじゃない。で、そう作ってくっていう作業だけど。ソロはわりと、予測しない作り方が面白いなと思ってるから。結構旅とか行ったりして、映像を撮りためとくの。まぁiPhoneとかなんだけど。その映像を見ながら、ピアノとかギター弾いたりとかりして。なるべくその時出てきた物を大事にしてあげようって
NAOTO:おもしろいね
石毛:そう。なんかさ、普通に作ろうと思ったら作れちゃうじゃんたぶん。すぐ自分の方程式とかに当てはめちゃうから。
NAOTO:ちょっと予定調和な感じとか
石毛:そうそうそう。自分のくせのメロディとか含まれてしまうから、なるべく何も考えてない状態で出来た物のほうがおもしろいんじゃないかなっていう
――石毛さんからソロ音源(Dark Becomes Light)をいただいて聴かせてもらった時に、高木(高木 正勝)さんの匂いも感じました。
石毛:光栄です。高木さんの作る映像もとてもいいですよね。もちろん凄く尊敬してますし。なんかその、聴いていて、画が浮かぶ音を作りたかったんです、ソロは。だから最初から画を観て作った方が早いかなっていうか
NAOTO:確かに画があるよね。なんかアイスランドの火山とかが見えてくるっていうか
石毛:アイスランド大好きっ子だし。アーティストがね。
NAOTO:なんか向こうのアーティストにの通じる音造りというか
石毛:ああいう音作れるようになったの最近だけどね。昔ああいう音作りたかったけど、全然わかんなくって。リバースってどうやるの?みたいな。シンセサイザーのなんだっけ?あの、うしおくんとか得意、、、
NAOTO:手法?機械?
石毛:手法っていうか、シンセ。グラグラグラグラ・・・グラニュラー!!とかも全然使い方がわからなくって。今だに
NAOTO:あれは、ちょっとね。
石毛:でもさ、作りたいエレクトロニカでは絶対そういう音がいっぱい入っててさ。それが最近やっとわかってきた。それはカセットMTRではわからなかったし
NAOTO:ちょっとテクノロジーがもたらした音楽というか。あと、フィールドレコーディングの音も結構使うよね
石毛:うん。結構使う。旅の時にまとめて録っておいて
NAOTO:それもあって画が見えやすいのかもしれない
石毛:逆にORANGE RANGEとdeloは違う?
NAOTO:deloは結構「無」というか、手法は一緒なの。作る時って、俺ずっといっしょで、今でこそiPhoneだけど、メロディーなの。お風呂入ってる時とか、トイレで座ってる時とか、眠る前とか、起きてちょっとうだうだしてるときとか、そういうところから出てきたのをとりあえずもう、なんでもいいから貯めるみたいな。
石毛:脳が半分動いてない時みたいな?
NAOTO:そうそうそう、なんか無意識のうちにとか・・・基本的にお風呂入ってる時とかに鼻歌とか歌ってて、なんの曲でもないんだよ。それが、あ、いいかなって思ったらiPhoneに入れて
石毛:そういうメロディを基にして?
NAOTO:コードつける、と同時にビートつけたりだとか。アレンジを何パターンか試すことになるんだけど。だからちょっと時間はかかるけど
石毛:アレンジの引き出しも凄い多いよね
NAOTO:なんかそれは、たぶんいろんなの聴いてるから
石毛:ちゃんとdeloとかさ、今っぽさがあっていいよね。でも凄くシンプル。わざとだよね?
NAOTO:うん。まず作るの全部。ぐわーっといっぱい音もいっぱい。
石毛:引き算?
NAOTO:引き算
石毛:引の美学だよね、今はね。わかる
NAOTO:なるべくコードもあんまり使いたくない。減らして減らして、必要最低限。俺の癖なのか、J-POPみたいになっちゃうから。あんまり使いたくない。
石毛:コードって危ないよね。使い方によっては。
NAOTO:一応やる全部。後から間引いていくっていう
石毛:8、9の流れがめっちゃよかった。最後の。曲めっちゃ好きっす
NAOTO:9曲目とかは全部サンプリング使って
石毛:あーそうなの?あれってさ、ギターにサイドチェーン?で引っ込む?
NAOTO:キックでね
石毛:あれ面白い。あの音像パクってもいいですか?(笑)
NAOTO:あーもう。俺もあれは、マイブラとかそういう
石毛:それをちゃんと今っぽくさ、音の入れ方というか
NAOTO:サイドチェーンもね、使い方によっては、やばい。ちょっとトレンドになっちゃうからねー
石毛:そーだね。ベースにかけるのはやっぱりあれだけど。あのかけ方、フェネスっぽいっていうかなんていうか
NAOTO:あういうの好きだよね。フィールドとかフェネスとかね。
石毛:ああいうの凄い好き。フィールドもかなりサンプリングだもんね
NAOTO:そーだね。あれのネタ元がいいのよ、80年代の。コクトーツインズとかね
石毛:そうそうそうそう、コクトーツインズね。そう。
NAOTO:あんな大ネタをね
石毛:大ネタをあんなにガッツリ使えるって。かっこいい。
NAOTO:あれ、ザ・テレフォンズもソロも、使うのは一緒?パソコンとか、機材とか
石毛:うん。ロジック。使うのは一緒。だけど
NAOTO:シンセは違う?
石毛:シンセは・・・
NAOTO:ソフトも含め。ハードも
石毛:共通してるのはあるかな。 ソロは今回はiPadのシンセも割と使ったかな。なんかね、得体の知れないシンセが結構あって。ナカコー(中村弘二)さんからそれを教えてもらって。全然使い方がわからないから良いなと思って。それをとりあえず10分くらい流しといて編集したり
NAOTO:ナカコーさんもそういうなんか・・・
石毛:あの人はもう次元が違う
NAOTO:なんかどっかから持ってきた感じがあるもんね、偶然のものをはしょってもってきたり
石毛:制作現場とか遊びに行くんだけど勉強になり過ぎる!!NAOTO君は昔と変わったことってあるの?たぶんアレンジのスピードはお互い上がってるとは思うんだけど。曲ができない時ってたぶん無い人だよね?
NAOTO:そーだね。結構ゴリ押しなとこがあるから(笑)できないくてもやるみたいな。でも、結局気に入らなくて捨てるんだけど。一回作っちゃえば満足しちゃうっていうか・・・昔と何か変わったかなあ?