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――波多野さんは、学生時代はどんな音楽を?

02

波多野 最初にがっつり好きになったのは、TM NETWORKだったんですよ。小学生の頃、宮沢りえさんが主演した映画で『僕らの7日間戦争』っていうのがあって、それを観に行ったんですね。

NAOTO 宮沢りえが好きで?

波多野 いや、当時、映画って2本立てだったんだけど、同時上映のパンダだか子犬だかの方を観に行ったんだよね。

NAOTO そっちなんだ(笑)。

波多野 なのに逆に『僕らの七日間戦争』に感動して。音楽にハマるようになって、その後、XとかLUNASEAを聴いてからの洋楽ですね。

山口 NAOTOくんって、小学校のころは何してたの?

NAOTO 記憶がないんですよねー(笑)。あまりにも友達がいないことを母親が心配して、1日30円あげるから部活やりなさいっていうんで、お小遣い目当てでサッカークラブに入ったものの実際にやるわけもなく。コートに行っては、ただ座って見てましたね(笑)。

Rie fu 今聞いても心配になるエピソード(笑)。でも、私もひとり遊びは好きでしたけどね。モノを作るのが好きだったので、朝5時に起きてからずっと絵を描いてたり。

山口 それはそれで(笑)。

Rie fu ね(笑)。言葉を覚えるためというのもあったんですけど、近所の子供たちがローラースケートとかで遊んでいたときに、ひとりウォークマンでカーペンターズを聴いてるような子供でした。

――渋さの根源は、<内にこもる>ですかね。山口さんは?

山口 僕は、ガンガン外に出てましたね。スポーツもしてましたよ。

Rie fu そういうね、幼少のころにスポーツしてるかどうかでドラムができるかどうかって違うと思うんですよね。

――基礎体力っていうか、精神的基盤っていうか。

Rie fu そうそう(笑)。

波多野 そういう意味では、僕はご想像通り、完璧にインドア派です。

Riefu やっぱり(笑)。

波多野 学校から帰ってきたら、家でずっと本を読んでましたね。当時は、海外文学……『ムソーヤの冒険』とか、『モモ』みたいなのが好きで。

Rie fu  歌詞の感じからすると夏目漱石とかなのに。

波多野 もちろん純文学も、すごく好きです。

03

Rie fu 普段ね、電車とか乗って人ごみにいるとランダムに人の会話が聞こえてきたりするじゃないですか。ランダムだけど、どこかつながっているような感覚になるんですよ。波多野さんの歌詞って、そのランダムさの中にある連続性、規則性みたいなものに近い気がしていて。

波多野 抽象的にとらえられやすいんだけど、言ってること自体、どれも具体的。それを俯瞰で眺めると抽象的になっちゃうのかもしれないけど――。今おっしゃった印象って、そういうことかなって。一個一個のイメージははっきりしてるんだけど、つなげることによって、また新しいんだっていうのが好きで、それは音楽と言葉の組み合わせというか。こういう音楽にこの言葉が乗るとさらにヤバイよな、みたいな。そういう化学反応を楽しんでますね。

Rie fu それは偶然にまかせてるんですか?

波多野 自分の中に<こうじゃなきゃいけない>っていうのはあるんですけど、それが説明できるかって言ったらできないですね。

――気持ちのいい方へ、というような?

波多野 まさに、そうですね。

Rie fu デロの曲は、英語なので、ライブでは、正直何を言ってるかわかんないだろうなと思って、わりと適当に歌っていたりするんですよ(笑)。

一同 笑い

波多野 それって、音として捉えてるからですよね。言葉って、意味が、音より突出するとかえって邪魔なときもあったりするから。デロの曲って、あまり意味を突きつけないじゃないですか。ど真ん中を言ってくれない。それがカッコよくて、心地いい理由のひとつだと思うんですよね。

NAOTO 波多野さんって、時々メロディからはずれてボソッと言葉をつぶやくじゃないですか。ああいうのがさまになる人って少ないと思うんですよね。

波多野 音楽の中でも、ちょっと逸脱したことがいいなと思っていて。楽器があって、音程があってリズムがあって。ある程度枠組みはあるんだけど、そこから少しだけズラすことで印象に残るでしょ。歌にも、そういうズルい感じを使っていきたくて。

Rie fu 実際に、誰かの会話を書き留めたりすることってあります?

波多野 あんまりないですね。日常生活のストックの中から引っ張り出すことが多いかな。あとは、仮歌で適当に歌った言葉が最後まで残るとか。

Rie fu 作詞作曲は、ある意味霊媒師的な役割になりますよね。

波多野 器になるという意味では、そう部分はありますね。自分がどんどんなくなっていく感覚になってるときが、いちばんいい状態なんですよね。なかなかなくなれませんけど。

――よく見せたいとか、こっちの方がいいかって思ってしまって?

波多野 そうそう。カッコつけちゃうことが多いんですよねー(笑)。

Rie fu そういうところが、また人間味になるんでしょうけどね。

 

 

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